スマホを水平器として使う方法
お使いのスマホには、すでに水平器として働くためのハードウェアが入っています。中の加速度センサーが3方向の重力を測り、水平器アプリがそれを度数で読める傾き角に変えてくれます。ブラウザでツールを開き、平らな面で一度キャリブレーションすれば、棚や壁がまっすぐかどうかを0.1度から0.2度の単位でチェックできます。実物の水平器は要りません。
この記事のポイント
- 最新のスマホにはどれも3軸の加速度センサーが入っていて、キャリブレーションすれば±0.1度まで傾きを検出できます。
- サーフェスモードは水平な面(床、棚、カウンター)をチェックし、プラムモードは垂直な面(壁、ドア枠)をチェックします。
- ホールド/フリーズ機能を使えば、読み値をハンズフリーで固定できます。何かの位置を合わせながら画面を見られないときに欠かせません。
- まず平らだと分かっている面でキャリブレーションします。ガラスのテーブルや御影石のカウンターがよく合います。
- スマホの水平器は、たいていのDIYには十分頼れます。建築の測量や1.2メートルを超えるスパンなら、専用のトルペード水平器かレーザー水平器のほうが向いています。
スマホが水平を検出する仕組み
ここ15年ほどに作られたスマホには、ほぼ必ず加速度センサーが入っています。加速度を測る小さなチップで、重力も加速度の一種として数えられます。スマホが静止しているとき、かかっている力は真下に引く重力だけです。水平器アプリはこれを読み取ります。
センサーは3つの軸に沿った引きを測ります。スマホの幅方向がX、長さ方向がY、画面を貫く方向がZです。スマホを平らに置くと、重力はすべてZ軸にかかります。傾けると、その引きの一部がXやYに移ります。アプリは3つの読み値を比べて、そこから傾き角を計算します。この角度が画面に出る数字です。
スマホの水平器の限界を決めているのはセンサー自体ではありません。限界はチップにもともとあるオフセット、片側を持ち上げるケース、そしてスマホが温まったときのわずかなドリフトから来ます。平らな面でキャリブレーションを一度タップすれば、そのほとんどが打ち消されます。だからこそキャリブレーションの手順が大切なのです。
スマホを水平器として使う手順
準備は1分もかかりません。アプリストアに行く必要もありません。ブラウザを開いてツールを読み込めば、もう測定できます。手順は次のとおりです。
- スマホのブラウザでspiritlevel.proを開きます。Safari(iPhone)でもChrome(Android)でも、ダウンロードなしで動きます。ツールはプログレッシブウェブアプリとして読み込まれるので、一度開けば以降はオフラインでも使えます。
- 権限のダイアログが出たら「許可して続行」をタップします。アプリはスマホのモーションセンサーへのアクセスが必要です。iPhoneではiOSが自前の権限ダイアログを出します。Androidではブラウザが自動で処理します。許可は一度だけで済みます。
- モードを選びます。水平のチェック(床、棚、カウンター)にはサーフェスモードを、垂直のチェック(壁、柱、ドア枠)にはプラムモードを選びます。違いは次のセクションで詳しく説明します。
- 初めて測る前にキャリブレーションします。ガラスのテーブルや御影石のカウンターなど、水平だと分かっている面にスマホを平らに置き、キャリブレーションボタンをタップします。これでセンサーのオフセットがゼロになります。これはセッションごとに一度だけで十分です。
- チェックしたい面にスマホを置くか、押し当てます。気泡がリアルタイムで動きます。下の度数表示に、正確なピッチとロールの値が出ます。
- ハンズフリーで使うなら音声ガイドをオンにします。サウンドアイコンをタップして近接音をオンにします。水平に近づくほどアプリのビープ音が速くなり、目標に達すると連続音が鳴ります。壁に棚受けを押し当てていて画面を見られないときなど、特に役立ちます。
- 画面を見られないときはホールド/フリーズを使います。気泡管を1回タップすると、今の読み値が固定されます。琥珀色の「HOLD」バッジが出ます。そのまま作業に目を移し、位置を直してから、もう一度タップして固定を解き、新しい角度を確認できます。
これだけです。たいていの作業はステップ5までで足ります。音声とホールドの機能は、無理な角度や頭上の棚、あるいは離れた場所から見ている間に手伝いの人が何かを動かすような場面で真価を発揮します。
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サーフェスモードとプラムモード、どちらを使う?
いちばん多いつまずきが、モードの選び間違いです。サーフェスモードはピッチとロールを同時にチェックするので、水平なものすべてに向いています。プラムモードはピッチだけをチェックし、これは垂直なものに使いたいモードです。この違いは大事です。壁の間柱は前後にはまっすぐでも横に倒れていることがあり、それを捉えられるのは片方のモードだけです。
サーフェスモード:水平のチェック
サーフェスモードは丸い気泡管を表示します。面が水平と読まれるには、気泡が中央の円に収まる必要があります。手前への傾きと横への傾き、2つの軸を同時に見ています。床、カウンター、家電、棚など、平らに置くものすべてに使ってください。
表示にはピッチとロールが2つの数字として出ます。0.0度 / 0.3度と出る床は、前後は水平でも横に少し倒れています。当て推量ではなく、どちら側に薄板を挟めばよいか分かります。
プラムモード:垂直のチェック
プラムモードは、ポスト用水平器のような縦長の四角い気泡管を表示します。垂直のチェックではスマホを立てて持ち、横の傾きは関係ないので、ピッチだけを追います。壁、ドア枠、フェンスの柱、テーブルの脚などに使ってください。
画面を自分に向け、スマホの端を垂直な面に押し当てます。気泡が左右に動きます。真ん中に来れば垂直です。ここでも近接音が働くので、強い日差しの中、腕を伸ばしてフェンスの柱をチェックし、画面がよく見えないときに助かります。
スマホの水平器で正確に読むコツ
キャリブレーションしたスマホを冷えた面でじっと構えれば、していないスマホには毎回勝ちます。最新の端末なら、キャリブレーション後はおおむね0.1度くらいの精度が期待でき、家まわりのどんな作業にも十分です。差が出るのは、次の4つの習慣です。
信頼できる面でキャリブレーションする
これから測る面でキャリブレーションしてはいけません。信頼できる基準を使います。ガラスのダイニングテーブル、御影石のカウンター、あるいは機械加工した金属板です。スマホを平らに置き、読み値が落ち着くまで2秒待ってから、キャリブレーションをタップします。アプリはそのオフセットをセッションの間じゅう保ちます。
やり直しても3秒ほどで、スマホの温度が変わったとき、たとえば暖かい庭から冷房の効いた部屋に持ち込んだときには、やっておく価値があります。温まるとセンサーが少しずれるので、キャリブレーションし直せばそのずれが打ち消されます。
ケースを外す
厚いケースはスマホの片側を持ち上げ、読み値を0.数度ずらすことがあります。カードスロット付きの手帳型ケースがいちばん厄介です。ふつうのシリコンケースならたいてい問題ありません。スタンド付きのハードケースや、カメラの出っ張りが盛り上がったものは、滑らかな面に置いたときにスマホをぐらつかせます。フィニッシュやプレシジョンのような厳しい公差で作業するなら、先にケースを外してください。
じっと構えて、読み値が落ち着くのを待つ
アプリは生のセンサーデータを平均化して手ぶれをならすので、読み値は速い動きから少し遅れます。角度を読む前に、1〜2秒スマホを止めてください。気泡が静まるのを見ていられます。まだ動かしながら読むと、数字は0.数度ずれることがあります。
スマホを冷たく保つ
熱いスマホはドリフトします。画面をフル輝度にしたり、位置情報をオンにしたり、バックグラウンドのアプリをためこんだりすると、どれもセンサーを温めます。読みを正確にしたい作業の前には、使っていないものを閉じ、30秒ほど画面を暗くしておきましょう。読み値が安定します。
スマホの水平器は何に使える?
スマホの水平器は、家まわりでやる水平出しのほとんどをこなせます。家の作業はたいてい、どこかで1回は水平のチェックが要ります。活躍する場面を挙げます。
- 絵や鏡を掛ける。壁に印を付け、額の縁にスマホを当て、気泡が真ん中に来るまで調整します。音声をオンにすれば、両手を額に添えたままにできます。
- 棚や棚受けを取り付ける。2本目のねじを打つ前に、棚受けを1つずつチェックします。棚受けの縦材はプラムモードで見ます。棚が付いたら、棚自体はサーフェスモードで確認します。
- 家電の水平を出す。冷蔵庫、洗濯機、食洗機は、きちんと排水し正しく動くために水平に据える必要があります。スマホを上に置いて角度を読み、脚を調整します。フィニッシュ公差(±0.3度)でどんな家電にも十分近づけられます。
- テレビの壁掛け金具を付ける。金具が1度傾くと、大画面ではっきり曲がって見えます。締める前に、金具の上端に沿ってスマホを置きます。プレシジョン公差(±0.1度)なら、目に見える傾きをなくせます。
- ドア枠や窓の見込みを確認する。枠にスマホの端を当ててプラムモードを使います。ドアが開いたまま、あるいは閉じたままにならないのは、枠の垂直が狂っているのが原因のことがよくあります。
- フェンスやデッキの柱を立てる。突き固めたあと、柱の各面にスマホを当てて両方の軸をチェックします。音声を使えば、画面ではなく柱に目を向けていられます。
- キャンピングカーやキャラバンの水平を出す。中の床にスマホを置けば、ピッチとロールを一度に読めます。サーフェスモードなら両方を1画面で表示します。
絵掛けや棚付けの作業で差が出るのが音声モードです。何かを押さえていて両手がふさがっているとき、部屋の向こうから数字を読み上げてもらわなくても、音で水平が分かります。
スマホの水平器では足りないとき
スマホの水平器は便利ですが、はっきりとした限界があります。1点の角度しか読めず、その下の面が平らであることを当てにしています。測量機器やレーザー水平器はスマホにできないことをこなせるので、スマホの限界を知っておけば高くつく失敗を避けられます。
長いスパンと建築工事
スマホは1点の角度を読みます。1.2メートルのトルペード水平器やレーザーなら、ひと続きの全体を一度にチェックできます。スラブは真ん中でスマホの下だけ完全に水平でも、3メートルのスパン全体では傾いていることがあります。構造の作業、型枠、コンクリート打設には、ちゃんとした機器を使ってください。
精密加工と測量
工作機械の芯出し、計器の校正、測量は、どれもスマホで得られる以上の精度を必要とします。チップは机上で細かい数字を出せても、振動、熱、ふだんの取り扱いが実際の誤差を広げます。0.1度より厳しいものには、認定された機器を使ってください。
ほこり、水、高温の環境
現場でスマホの下に砂粒があると、読み値が傾きます。日なたや炉のそばに置いたスマホはドリフトします。防水性は機種によってまちまちです。ここでは簡単な目安が効きます。そもそもスマホを置きたくない場所では、水平器としても使わないことです。
記録を残す必要があるとき
読み値を業者や建築検査官、保険会社に出す必要があるなら、スマホのアプリでは通りません。正式な記録には、証明書付きの校正された機器が要ります。
スマホの水平器で本当に効いてくる限界は、たいていセンサーではなく使い方です。スマホをていねいに置いて読み値が落ち着くのを待てば、毎回安定した数字が得られます。ぽんと置いてまだ動いているうちに読めば、数字は跳ね回ります。ほとんどの作業では、どのスマホを持っているかより、どう置くかのほうが大事です。
よくある質問
- スマホの水平器は実物の水平器と比べてどのくらい正確ですか?
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キャリブレーションしたスマホはおよそ0.1度まで読め、これはよくある気泡管と同等で、多くのものより細かいくらいです。絵掛け、棚付け、家電の水平出しなら、必要な精度に十分収まっています。0.1度よりずっと厳しい精度が要る構造の作業や測量には、専用の機器を使ってください。
- スマホを水平器として使うのにアプリのダウンロードは必要ですか?
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spiritlevel.proならダウンロードは不要です。どのモバイルブラウザで開いても、プログレッシブウェブアプリとして動きます。初回訪問のあとはオフラインでも使えます。ネイティブアプリがよければ、iOSにもAndroidにも標準のコンパスや計測アプリに水平器ツールが入っていますが、公差の設定は少なく、音声ガイドはありません。
- iPhoneで水平器アプリに許可が必要なのはなぜですか?
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iOS 13以降、Safariはウェブページがモーションセンサーのデータを読む前に確認を取ります。プライバシーのための仕組みです。許可をタップしても与えられるのはモーションデータへのアクセスだけで、位置情報やカメラなどには及びません。この許可はブラウザの履歴を消すまで有効です。
- インターネットに接続しなくてもスマホを水平器として使えますか?
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使えます。spiritlevel.proに一度アクセスすれば、アプリはサービスワーカーを通じて自身をキャッシュし、オフラインで使えるようになります。以降はネットワークがなくても読み込めます。センサーはスマホ自体で動くので、角度を読むのにサーバーは関わりません。電波の弱い現場でも頼りになります。
- ホールド機能とは何ですか、いつ使えばよいですか?
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気泡管を1回タップすると、その時点のピッチとロールが画面に固定され、琥珀色のHOLDバッジで有効中だと分かります。何かの位置を合わせながら画面を見ていられないときに、いつでも使えます。棚受けを壁に押し当てるときや、両手を空けたいはしごの上から柱をチェックするときが、よくある場面です。